LCC「地方路線」は助成金依存から脱却できるか? 目指すべき「3つの成長戦略」を解説する

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日本のLCCは、地方への路線開設を補助金で支援してきたが、コロナ禍で撤退した例もある。地方路線を維持・発展させるための具体策が必要である。

地方LCC、観光振興の課題

LCCのイメージ(画像:写真AC)
LCCのイメージ(画像:写真AC)

 では、近年縮小傾向にある地方のLCC路線を維持し、増便や新規路線の開設など発展につなげるにはどうすればいいのか。

 まず、助成金については、LCC新規路線への補助だけでなく、他の目的も含めた航空路線全般への助成金など、やるべきことはありそうだ。

 例えば、LCCの減便で観光客の減少が懸念される奄美市では、住民や元住民の帰省を支援するために「離島航空割引カード」という割引が設けられ、奄美群島から鹿児島や那覇に向かう路線に割引運賃で乗れる保証がある。

 しかし問題は、この割引カードがJALグループ3社(日本航空、日本エアコミューター、琉球エアーコミューター)にしか使えないことだ。これでは住民はLCCを利用するインセンティブが低く、需要は期待できない。

 仮に会社に制限がなければ、県庁所在地で商業・行政関連の需要がある鹿児島市や、アジア各地へのアクセスが容易な那覇市へのアクセス需要があり、住民の通年利用が期待できる。奄美~鹿児島間や奄美~那覇間に就航すれば、観光ルートに組み込みやすく、成田や関空以外からの新規路線候補として期待できる。

 LCCの就航を支援するためには、こうした航空路線に対する新たな助成金を創設することに加え、LCCの路線網拡大を目指すのであれば、地域内の既存の支援策の内容を見直し、より多くの航空会社が活用しやすい制度を作ることも重要ではないだろうか。

 また、LCCを利用することで航空運賃が安くなったとしても、ホテル代や公共交通の運賃、レンタカー代など、域内の移動にかかる費用が結局高くなってしまい、結局旅行に行けなくなってしまうという大きなデメリットもある。

 そのため、今後はゲストハウスや地元のバス会社、タクシー会社などと連携し、LCC限定のパッケージプランを充実させていくことが重要になるだろう。海外では、すでに東南アジアのエアアジアなど大手LCCが、

「飛行機には乗れるが、現地で泊まるホテルが見つからない」

という声に応え、独自のホテルブランドを展開している。日本でも大手旅行会社を中心にLCC利用プランが充実しつつあるが、今後は自治体も含めた推進が必要だろう。

 さらに、コロナ禍以降、普及が進んだ航空貨物輸送も大きな役割を果たすと予想される。都市部のLCCの拠点である成田空港、関西国際空港、中部国際空港は、以前から国際貨物路線が充実しており、周辺には倉庫会社や物流会社も多い。この地の利を生かし、周辺地域からの電子部品、衣料品、農産物、水産物等の輸送を可能にするため、航空会社と連携して路線を維持することも重要な施策であろう。

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