LCC「地方路線」は助成金依存から脱却できるか? 目指すべき「3つの成長戦略」を解説する
日本のLCCは、地方への路線開設を補助金で支援してきたが、コロナ禍で撤退した例もある。地方路線を維持・発展させるための具体策が必要である。
LCC運休、地方空港の課題

しかし、手厚い助成金とは裏腹に、ここ数年、地方空港から成田や関西へのLCC便の運休や減便の動きが相次いでいる。
なかでもジェットスター・ジャパンの成田~庄内線は、山形県が空港カウンター設置などに7000万円を支援し、2019年に就航したが、コロナ禍の影響で就航から1年足らずで撤退。2020年以降、関空~福岡、熊本、高知、中部~新千歳、鹿児島などの路線を運休し、コロナウイルスの影響が少なくなった現在も運休したままだ。
また、ピーチの成田・関空~奄美線は2024年から夏を中心とした季節運航に縮小され、成田~女満別、成田~釧路、成田~宮崎などの路線も運休している。
JALの子会社となった春秋航空日本は、成田~新千歳、成田~広島線を除く全路線から撤退した。特に奄美路線は合併前からバニラエアが開設していた路線で、若者を中心に観光客を大幅に増やしてきた路線だけに、今回の結果を残念に思う人は多いだろう。
また、コロナ禍の影響や輸送人員の伸び悩みなど需要サイドの要因もあるが、パイロットをはじめとする人材不足や成田空港・関西国際空港の混雑の影響など、航空会社のリソース配分も大きく影響している。
実際、前述のピーチは、札幌や那覇などの主要路線を増便し、限られた機材や人員を有効活用している。助成金で手厚く保証され、人気路線になったにもかかわらず、路線網を維持できない日本のLCCは、特殊で厳しい状況にあるといえるだろう。