「民間企業ですから」 JR西日本がローカル線問題で、地元の神経を“逆なで”し続けるワケ 島根県知事は「株主総会対策?」のド直球ツッコミ
木次線、美祢線であり方協議を提案
岡山県と広島県の山間部を結ぶ芸備線の再構築協議会が進むなか、JR西日本が地元の神経を“逆なで”する発言を繰り返している。沿線地方自治体とJR西日本の溝は広がる一方だ。
「利用実態に応じた持続可能な交通体系を相談したい」
鳥取県米子市で5月下旬に開かれたJR西日本山陰支社の記者会見。佐伯祥一支社長が中国山地を通って島根県と広島県を結ぶ木次(きすき)線について、出雲横田駅(島根県奥出雲町)から芸備線と接続する備後落合駅(広島県庄原市)まで29.6kmのあり方協議を始めたい意向を示した。
岡山県と広島県の山間部を結ぶ芸備線は、備中神代(岡山県新見市)~備後庄原(庄原市)間68.5kmのあり方協議が3月から国の再構築協議会で始まったばかり。記者会見当日の午前中に沿線自治体の担当課長級に連絡を入れる唐突な発表に、地元は驚きと反発を隠さなかった。
だが、地元の神経を逆なでする発言はこれだけでない。山陰支社記者会見の1週間前、岡山支社の浅井昌容副支社長は岡山市で開かれた芸備線再構築協議会の幹事会で
「設備投資を単独で行うことは困難」
と主張した。JR西日本の決算が黒字に回復していることを挙げ、芸備線への予算投入を求める沿線自治体の意向に反論した格好だ。
さらに山陰支社の記者会見から6日後には、広岡研二広島支社長が大雨被害で全線運休が続く山口県の美祢(みね)線46kmについて、山口県山陽小野田市で開かれた美祢線利用促進協議会で
「復旧や再開後の運行をJR西日本単独で行うのは難しい」
と述べた。鉄道に限らない公共交通のあり方を議論する部会の設置も提案している。
美祢線は中国山地を越え、山口県内を南北に貫く路線。中国山地では2003(平成25)年に広島県を走る可部線の大部分、2018年に島根県と広島県を結ぶ三江(さんこう)線が廃止されている。JR西日本が芸備線に続き、木次線、美祢線のあり方協議に言及したことで、中国山地を走るローカル線の危機が一気に高まった。