トヨタ「中国資源大手」と協業発表 決断は賢明か愚昧か? 地政学的リスクと経済合理性のバランスを考える
中国を巡る地政学的リスクへの懸念が高まるなか、トヨタの中国事業強化に懐疑的な見方もあるだろう。しかし、重要なのは経済合理性と地政学的リスクのバランスである。
経済合理性と対中規制

近年、中国依存からの脱却がさまざまな場所で議論され、インドやASEANなどグローバルサウスへのシフトにかじを切る企業の動きが以前より増えているが、
「中国にはない特有のリスクがある」
「テロや暴動、犯罪などが心配だ」
「そもそも代替先が確保できない、見つからない」
などといった企業の声を筆者は聞く。そういった企業にとっては、いかにリスクを回避する形で中国でのビジネスを継続するかが重要な課題になっている。
トヨタ自動車の協業の決断の背景はわからない。しかし、トヨタ自動車のケースのように、潜在的な地政学リスクがあるなかでも中国へのビジネス強化を目指す企業の動きは今後も続くことだろう。
日本は米国からの要請に応える形で、2023年7月から半導体製造装置など23品目で中国への輸出規制を開始したが、これは米国が求めるほど強い規制ではなく、日本の経済合理性とのバランスを取ったレベルの規制である。
これと同じように、多くの対中懸念事項が叫ばれるなかでも経済合理性を意識した日本企業の中国ビジネスは続く。