トヨタ「中国資源大手」と協業発表 決断は賢明か愚昧か? 地政学的リスクと経済合理性のバランスを考える
中国を巡る地政学的リスクへの懸念が高まるなか、トヨタの中国事業強化に懐疑的な見方もあるだろう。しかし、重要なのは経済合理性と地政学的リスクのバランスである。
安全保障と経済のバランス

政治や安全保障の分野に携わる人々の間では、依然として「企業はどのように地政学リスクに対処するか」といった視点で問題を捉える風潮が少なくない。要は、安全保障に関わる問題であるから企業はそれに対して自制をするべき、行動を変えるべきといった固定観念みたいなものがあり、
「安全保障は経済に勝る」
といった風潮がある。
しかし、安全保障分野の研究者として企業向けのセキュリティーコンサルティングに従事する筆者(和田大樹)は、地政学リスクは海外進出する企業にとって考慮するべきひとつのリスク以上のものではないと考える。
無論、地政学リスクが重大なものであれば、それによって企業は経営方針や戦略を変更せざるを得ない状況もあろうが、
「潜在的な地政学リスク」
があるというだけで経営戦略を大幅に変えることは難しいのが企業の実情だ。