JR「混雑偏重 = 快速のせい」はデタラメ? 議論すべきは「有効本数」である
特別快速新設で有効本数減らした「常磐線」

一方、中央線と逆に、運行本数は変わらないものの、種別が変わったことで有効本数が減ってしまったのが常磐線だ。
2005(平成17)年7月、JR東日本は同年8月開業のつくばエクスプレスに対抗するため、常磐線の日中の上野~土浦間に特別快速を新設した。当時、茨城県内の取手~土浦間では上野行き快速列車が毎時4本運転されており、このうちの1本が特別快速に置き換えられた。だが特快があまりにも速過ぎてしまい、先行の15分前に出た快速まで抜かしてしまうこととなり、有効本数は3本に減少した。
当時の土浦駅上りの時刻を見ると、毎時00分発の特快、14分・30分・45分発の快速が設定され、ほぼ15分間隔の発車となっていた。だが、45分発の快速は佐貫で特急の通過待ちを行うため後続の特快との差が9分に縮まり、さらに取手から先、特快の止まらない天王台、我孫子に停車して3分差まで追い上げられ、最終的には北千住で特快に抜かれる。
ということは、土浦駅の利用者にとって日暮里より先の都心を目的地とする場合の有効本数は毎時00分発の特快、14分・30分発の快速の3本のみとなり、30分発を逃すと事実上、次の特快まで30分待つことになっていたのだ。
これに対し、並行するつくばエクスプレスの場合、茨城県内の快速通過駅に止まる列車は日中1時間あたり区間快速2本、守谷で快速に接続する普通列車2本の計4本で常磐線と同じだが、快速に追い抜かれる区間快速はないので、この4本がまるまる有効本数となる。常磐線は有効本数ではかえってライバルに劣る結果となってしまったのだ。
その後のコロナ禍でのダイヤ見直しにより、土浦~取手間の常磐線では特別快速を減便し、快速をすべて品川まで延長して毎時3本、おおむね20分間隔の運転に均等化した。減便してもすべて有効本数となり、有効列車間の運転間隔均等化が実現されたことを考えれば、かえってこの方が便利といえる。