JR「混雑偏重 = 快速のせい」はデタラメ? 議論すべきは「有効本数」である

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本当に便利でよい路線とは何かを考えるためには、どのような視点が必要か。本稿では、路線の利便性を「有効本数」という指標で見ることを提案し、いくつかの路線の例を紹介する。

運行本数増やさずに有効本数増やした「中央線」

中央線(画像:写真AC)
中央線(画像:写真AC)

 このように、実際に利用する上では運転本数以上に重要なのが有効本数だ。そして、運転本数を増やすことなく有効本数を増やすことも可能である。その例がJR中央線だ。

 かつて中央線の立川以西の区間は、運転本数の割に有効本数が少なかった。

 例えば土休日の豊田駅上り12時台は10本と都心の地下鉄並みだったが、このうち6本は中野へ着くまでの間に後続の特快に抜かされる列車であり、中野より先を目的地とする人にとっての有効本数は特快3本と、立川で青梅線から来る特快に接続する快速1本の計4本しかなかった。ということは

「平均15分間隔でしか電車が来ない」

のと同じだ。

 しかし2013(平成25)年3月のダイヤ改正により、日中1時間あたりの特快の本数が平日は5本、土休日は6本まで増えた。既存の快速の一部を特快に置き換える形での増発で、運転本数は変わってはいない(むしろ若干減った)が、立川以西の有効本数は大幅に増えた。土休日の豊田駅上り日中帯で比較すると、本数自体は1時間に9本に減ったものの、有効本数は特快4本と、立川で青梅線から来る特快に接続する快速2本の計6本まで増えたのだ。

 これで、都心部へ行く人にとっては平均10分間隔で電車が来るのと同等の利便性にまで改善されたことになる。時刻表上の停車本数が多い駅が必ずしも便利な駅ではないことを示すビフォーアフターの好例である。

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