JR「混雑偏重 = 快速のせい」はデタラメ? 議論すべきは「有効本数」である
全部各駅停車にすれば有効本数率100%の“愚策”

では、昨今話題になっている京葉線はどうすればよいか。
京葉線ではラッシュ時の快速をすべて各駅停車にした。全部各駅停車にすれば有効本数は最大化されるし、有効列車同士の間隔も均一化できて混雑偏重をなくせる。これ自体は何の間違いもないのだが、速達性を犠牲にし、沿線価値の低下を招く。他線区では速達サービスをやりつつ混雑バランスを取っており、全部各駅停車にすればいいというのは
「愚策」
といえる。では、どうバランスを取るのがいいのか。
京葉線の場合、何も考えずに元々あった4本だけ通勤快速を復活して、千葉市長がいうように海浜幕張に止めると、海浜幕張だけでなく新浦安などで追い抜く各駅停車の利用者まで一部の通勤快速に利用が集中して混み過ぎてしまう。
また、新浦安などで通勤快速に抜かされる各駅停車(左図灰色の線)の後に海浜幕張で通勤快速の待ち合わせがある各駅停車があったりすると、どちらに乗っても同じ通勤快速に乗ることになり、新浦安で抜かされる列車は東京へ行く人にとっては実質的に使えない列車(有効でない列車)となってしまい、検見川浜や稲毛海岸駅利用者にとっては有効列車だけで見ると間隔が大きく広がってしまう。
こういった問題を考慮してあるべきダイヤの姿を考える必要があるが、JRの快速設定のやり方には残念ながらこの発想はない(私鉄では常識なのだが)。
求められる混雑偏重の防止

対策としては各駅停車と通勤快速の本数の比率を1対1とし、東京先着列車(有効列車)の間隔を統一することにより、混雑偏重を防ぐことだ。
具体的には、朝ラッシュ時は7分30秒に通勤快速1本、各駅停車1本、武蔵野線1本のサイクルにするのが望ましい。夕ラッシュ時はこれを10分のサイクルで同じ本数にする。これなら市川塩浜~越中島駅は、朝は2分30秒~5分間隔、夕方は4~6分間隔と、通勤快速運転をしながらでもかなり整ったダイヤになる。
そして特急は総武快速線に押し付けて追放しよう。京葉線内無停車で何の恩恵もなく、追い抜きで通勤電車の運転間隔を乱すだけの特急は、今からでも線路にまだ余裕がある総武快速線に押し付けるか、グリーン車を連結している総武快速線列車の一部を勝浦へ延長したり、君津行きを増やしたりするなどして、特急の代替とすることを考えたほうがいい。本案の通勤快速は特急追放で空いたダイヤ枠も活用する。
このようなダイヤにすると、どのタイミングで乗っても有効列車同士の間隔が均等化され、混雑の偏重なく速達サービスが提供できる。