「カイロス」打ち上げ会見にみる日本社会の混迷! 「失敗」を異様に忌避する空気はおかしい、「ドンマイ」でいいじゃん?

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モビリティの新しい世界へ、楽しく乗り出そう――。いつものニュースにはもう飽きた。だからこそ、本連載では新たなモビリティへの案内を始めたい。ゆるくても、本気。非専門ライターが描く、ユニークな目線と世界がここにある。

禁句と固定観念

宅配便のイメージ(画像:写真AC)
宅配便のイメージ(画像:写真AC)

 ロケット打ち上げの話に戻すと、失敗という言葉をもっと気軽に使えないものかなと思ったりする。ロケット打ち上げには、失敗は付き物だといわれている。ひとつの単語を「禁句」とすると、しばしば奇妙ないい換えが発生し、物事が正しく理解できなくなったりする。

 ついでにいえば、日本社会は

「前もって計画を立て、全て計画通りに進むことこそ素晴らしい」

との固定観念が強い。ゆえに、

「たぶん」
「恐らく」

といった言葉もほとんど使用不可能になる。

 宅配便の荷物ひとつ取っても、「たぶん明日には届きます」といういい方は決して聞かない。念のために余裕を持たせて

「遅くとも3日後には到着の予定ですが、お約束はできません」

みたいないい方になったりする。

 こんな具合に

「確実性」

を強く求められる日本社会は確かに便利で快適で、未来のことを予測しやすいのだが、そういう常識が根強い土地は、もしかしたらロケット開発みたいな先進的な事業はやりにくいのかもしれない。

 その意味では、打ち上げ失敗の直後にXなどSNS上で開発者をねぎらうドンマイ的なコメントが多数流れたのは、辛うじて救いともいえる。

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