H3ロケットでも再び! 三菱重工が近年「大型プロジェクト」に相次いで失敗している理由

キーワード :
, ,
H3ロケット打ち上げ失敗で、マーケットは敏感に反応した。JAXAとH3を共同開発している三菱重工の株価は失敗後に続落し、一時は500円超値下がりした。大型プロジェクトが相次いで失敗している背景には何があるのか。

H3打ち上げ失敗で株価は続落

組み立て棟から発射地点へと移動し、打ち上げを待つ新型ロケット「H3」試験機1号機=2月16日午後、鹿児島県・種子島宇宙センター(画像:時事)
組み立て棟から発射地点へと移動し、打ち上げを待つ新型ロケット「H3」試験機1号機=2月16日午後、鹿児島県・種子島宇宙センター(画像:時事)

 2023年3月7日午前10時37分、日本の新たな主力ロケット「H3」初号機が鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。

 H3は宇宙への輸送手段という役割を担う次世代ロケットとして注目されたが、打ち上げから13分55秒後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)はロケットにミッションを達成する見込みはないと判断し、指令破壊信号を送った。H3の機体はフィリピン東方沖に落下したとみられ、打ち上げは失敗に終わった。

 H3の打ち上げ失敗は日本の宇宙ビジネス拡大のボトルネック(進行の妨げになるもの)になりかねず、深刻に受け止められている。

 というのも、世界の宇宙ビジネスの市場規模は今後、急速に拡大することが予想されているからだ。米モルガン・スタンレーは世界の宇宙ビジネスの市場規模は2040年に1兆ドル(約130兆円)を超えるとの見通しを示している。これは2016年の約37兆円の3倍以上に相当する。

 宇宙ビジネスの中核をなすのが人工衛星を活用したサービスで、宇宙ビジネスの拡大に伴い人工衛星の打ち上げも増加することが見込まれている。

・高信頼性
・低価格

をうたったH3の開発は、そうした人工衛星の打ち上げ需要を取り込む狙いがあっただけに、打ち上げ失敗への落胆も大きい。

 特に、今回の失敗に対してはマーケットが敏感に反応した。JAXAとH3を共同開発している三菱重工業(東京都千代田区)の株価は、失敗前の3月上旬は5000円を上回る水準で推移していたが、失敗後に続落し一時は500円超値下がりした。

全てのコメントを見る