「カイロス」打ち上げ会見にみる日本社会の混迷! 「失敗」を異様に忌避する空気はおかしい、「ドンマイ」でいいじゃん?
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モビリティの新しい世界へ、楽しく乗り出そう――。いつものニュースにはもう飽きた。だからこそ、本連載では新たなモビリティへの案内を始めたい。ゆるくても、本気。非専門ライターが描く、ユニークな目線と世界がここにある。
日本の回りくどさ

筆者(西谷格、フリーライター)はかつて中国で6年間ほど生活していたが、日本社会に戻ってきて何より困惑したのは、ネガティブ表現を伝える際の回りくどさだった。特に、多少高級な飲食店やホテル、百貨店の接客業が顕著だった。
欲しい商品の有無を尋ねると、店員さんはひどくかしこまった様子で「あーっ」と落胆に近いため息のようなものを漏らす。その瞬間に「今聞いた商品は置いてないのだな」とわかるが、彼や彼女は続ける。
「そういった商品になりますと店頭になければ当店にはご用意がないものとなりますが、念のためお取り寄せ可能かどうか確認して参りますので、少々お待ちくださいませ」
といった事態にまで発展する。
そうしてしばらく待たされて、結局
「大変申し訳ございません。あいにく他店でも在庫が確認できない状態でございます」
と、葬式の参列者がお悔やみを申し上げるような沈痛な面持ちで深々と頭を下げてくる。なんなんだ、これは。
「没有!(メイヨウ=ない)」
の一言で視線すら合わせずに一喝された中国の商業施設がふと懐かしくなるのは、こういうときである。コンマ数秒で結論のみ、スパッといい切ってもらうのはなかなか心地よくもあるのだ。
目当ての商品が置いてなかった程度のことであっても、沈痛な面持ちで「大変申し訳ございません」といわれると、なぜだかこちらがもっと怒らなくてはいけないような錯覚に陥る。