ボーイング・エアバスから市場を奪還? 中国初の国産機「C919」は、欧米寡占を打ち破る突破口となれるか
2月に開催されたシンガポール・エアショーでは、中国のCOMACのC919が初の海外デビューを果たし、世界的な注目を集めた。米国とEUの寡占状態を打破する突破口となり得るのだろうか。
初の海外デビュー

航空機の商取引を行う国際トレード・ショーとしては、アジアで最も長い歴史と伝統を持つシンガポール・エアショーが、2月20日から25日の日程で開催された。
今回、特に話題を呼んだ新型機の登場はなかったが、中国COMAC社のC919が初の海外デビューを果たしたことで、世界的な注目を集めることになった。
今回のエアショーでデモ飛行を行った旅客機は、このC919以外にはエアバスA330だけだったという。アジア各国に大口の顧客を持っているはずのボーイングは、737シリーズで重大な製造不具合問題を起こしており、このエアショーにデモ機を持ち込むこともかなわなかった。図らずも、
・躍進する中国航空産業
・苦境のボーイング
という対照の構図が、エアショーに反映されたようにも見えた。
派生型の登場

C919はボーイング737やエアバス320などと競合する小型旅客機で、既に中国東方航空で商用運航に入っている。そのほかにも多くの中国エアラインが導入を予定しており、これまでに合計で約1000機の受注を獲得したことが発表された。
加えて、C919初の海外顧客として、ブルネイの新興企業であるギャロップ・エアが15機のC919を発注しており、ブルネイ王国がC919の型式証明承認への手続きを進めている。
さらに、C919の胴体を短縮した高地型(プラトー型)と呼ばれる派生型も2023年末に発表されており、これは中国のチベット航空などへの納入が予定されている。
高地型は、名前のとおり標高の高い空港での離着陸性能を向上したタイプで、機体サイズとしてはボーイング737-7やエアバスA319neoと競合する。中国ではAVIC社の旧式機ARJ21も高地型を供給し、これらによって中国国内の高標高空港は大半がカバーできるという。