ワイパー付き「フェンダーミラー」がいつの間にか姿を消したワケ

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かつてのクルマには、フロントガラスの窓だけでなく、いたるところにワイパーが装備されていた。では、いったいどこに取り付けられていたのか。

ワイパー装備が消滅したワケ

LEDヘッドランプ(画像:写真AC)
LEDヘッドランプ(画像:写真AC)

 そんな華やかな時代を築いたワイパー装備も、今ではほとんど見かけなくなった。なぜいつの間にか姿を消してしまったのか。

 大きな理由のひとつは、そもそもそれほど必要なものではなかったからだ。冷静に考えれば、ドアミラーやサイドウインドーはワイパーがなくても、ちょっと窓を開けて拭くことは可能だ。また、今では撥水(はっすい)加工も簡単に施せる。

 当時、これらの装備は他社との差別化を図り、インパクトを与えるという一定の意義があったのだろうが、実際に装着されると目新しさがなくなり、奇をてらった装備になってしまった。

 道路事情の悪い海外の地方や寒冷地では、ヘッドライトワイパーは視認性を確保するための重要な機能だったかもしれない。しかし、日本では昆虫や雪がこれほど大きな影響を与えることはまれである。

 もうひとつの可能性は、自動車装備の進歩によってヘッドライトワイパーの必要性が低下したことだ。LEDヘッドライトやプラスチックレンズの採用により、光量そのものが増えたのだ。ライト関連の自動車部品を扱うエフシーエルのウェブサイトによると、ハロゲンヘッドライトの明るさが1200lmなのに対し、LEDヘッドライトは2100~2400lmと最大で2倍近い明るさがある。

 レンズが多少汚れていても、視認性に大きな影響を与えることはなくなった。道路の明るさを確保するために街灯も改良されている。これらが相まって、ヘッドライトワイパーの必要性が減っているのだろう。

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