迷走続けるサイドミラー! 行き着く先は結局「ミラーレス」なのか
モビリティ界の“ガラパゴス”

サイドミラーは、自動車の後側方を監視するための鏡である。現在はドアミラーが主流だが、1980年代前半までの日本車や古い英国車ではフェンダーミラーが主流だった。
ボンネットの前端、前輪を覆うパネルの上に設置されるフェンダーミラーは、死角を減らす、車幅を狭めるなど、日本の交通事情にマッチしたメリットがあった。
しかし、1983(昭和58)年に規制が撤廃されると、ドアミラーを装備した日本車が登場した。日産自動車のパルサーエクサを皮切りに、ドアミラー装着車は普及し始めた。ドアミラーはその後、日本独自のガラパゴス的進化を遂げた。
進化を遂げたドアミラー

サイドミラーの進化の歴史をひもといてみよう。
1984(昭和59)年、世界初の電動格納ミラーが登場した。採用されたモデルは、日産の5代目ローレルである。1980年には初代レパードに世界初となるワイパー付電動リモコン式フェンダーミラーが、1988年には初代シーマにドアミラーワイパーが採用された。
外車も同様で、1998(平成10)年にはメルセデス・ベンツSクラスに世界初のウインカー内蔵式ドアミラーが採用された。電動格納式ミラーとともに、今や世界標準となった。
ドアミラーはさらに地味な進化を遂げた。ミラーの「取り付け位置」である。当初、ドアミラーはドアガラスと同じ側に取り付けられていた。しかし近年のモデルでは、ドアから生えるように取り付けられている。まるでフェンダーミラーがそのままドアに移動したかのようだ。なぜこのような変化が起きたのか。
答えは単純に「視認性」である。視認性とは、目で見たときの確認のしやすさを意味する。ミラーそのものの視認性だけでなく、ミラーによって生じる死角の視認性だ。
マツダの公式ウェブサイトでは、ドライバーの視界について
「左目または右目のどちらかで必ず子どもの身体の一部が視認できるように、Aピラーとドアミラーのすき間の幅、そしてドアミラーの高さなどを設定し、子どもの姿を隠すことなく連続して視認できる安全な視界をつくり上げている」
と説明している。