中国人観光客が「青森市に殺到」報道は本当か? 県が意外な実態を説明、新たに浮上したインバウンド課題とは

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フジテレビのニュース番組が先日、青森市の観光地で中国人観光客が増えていると報じた。しかし、実際に青森県へ電話してみたところ……

県へのアクセス課題

青森県の観光地(画像:写真AC)
青森県の観光地(画像:写真AC)

 コロナ禍以降、“爆買い”目的で来日していた中国人観光客が激減し、自然や古い町並みを楽しむ旅行スタイルが主流になっている。この傾向は中国国内旅行にも見られる。そんななか、古い町並みと豊かな自然を持つ青森県は、確実に魅力を増している。

 しかし、新幹線をはじめとする交通網が発達しているとはいえ、青森県への直行便がないため、立ち寄り先の「ひとつ」にとどまっているのも事実だ。

 コロナ禍以前は、青森県だけでなく全国の地方空港がチャーター便を就航させ、中国人観光客の誘致に成功していた。2023年以降、インバウンド需要の拡大を狙う地方空港は、コロナ禍で一時中断していたアジア各国とのチャーター便を相次いで再開している。

 各空港ともチャーター便で需要を回復させ、定期便就航を目指す流れだ。現在、青森空港はチャーター便の就航を決めていないが、滞在型の観光客を呼び込むためには早期の実施が不可欠だろう。

2024年に入ってから中国では不況が深刻化し、春節の海外旅行も低調だといわれている。とはいえ、海外旅行者数は1億人を超えると推定されており、有望な顧客であることは間違いない。

 最後に、こうした受け入れ体制の構築には、人材の確保も課題であることに触れておきたい。前述の青森県の担当者に中国人観光客に対応できる人材の必要性を尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。

「中国語を話せる人材がいるいない以前に、そもそも人手が足りていないのです」

 インバウンド需要が回復しつつある日本では、バスやタクシーの運転手が不足し、外国人観光客の移動が困難になっている。彼らを受け入れるためには、出入国のための航空路やクルーズ船が寄港できる港湾だけでなく、観光客がスムーズに移動できるモビリティの導入も検討しなければならないのだ。

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