率直に言う 今のグランクラスは“ジリ貧”だ 復活のカギは、自己顕示欲の強い富裕層に向けた「値上げ」である
グランクラスのサービスの歴史は縮小する一方だ。“お得感”はあるが、リッチな気分はまったくしない。それでいいのか。
グランクラスの対応経緯

グランクラスの魅力のひとつは、軽食や茶菓子、アルコールを含む飲み物などで、専属のアテンダントによるサービスが受けられる。
しかし、グランクラスのサービスの歴史は縮小の歴史だった。2019年3月までは、乗客は洋食と和食の軽食を選ぶことができ、東京発の列車、東北・北海道発の列車、北陸発の列車で内容が異なっていた。東京発の列車では、東北・北海道発の列車と北陸発の列車で異なるメニューが提供された。メニューの変更も頻繁だった。その後、2022年9月までメニューは和食の軽食のみに絞られた。
2022年10月には上下線共通のメニューに変更された。冷凍食品を解凍して提供するようになり、「リフレッシュメント」と呼ばれるようになった。公式には「食品ロス対策」が理由だった。飲み物の数も減らされ、アテンダントの数もふたりからひとりに減らされた。
この間、コロナ禍のため、グランクラスで飲食サービスを提供できない期間があった。通常飲食サービスを提供している列車は、グランクラスの営業なしで運行された。
また、北陸新幹線では2022年10月から、最上級の「かがやき」のみでアテンダントによる飲食サービスが継続され、「はくたか」では廃止された。このように、アテンダントによる飲食サービスはグランクラスでは縮小され、はやぶさ、かがやきのみとなった。
食品ロスの問題や人手不足など、質の高いサービスを提供するのが難しいのはわかる。しかし、サービスを廃止するならともかく、サービスを維持・発展させたいのであれば、“ジリ貧”にするのは問題であり、逆効果である。このようなサービス提供は、かえってグランクラスの人気を下げることになる。