「新型クラウン」の成否は、日本の未来を占う“真のベンチマーク”である
筆者は新型クラウンの世界的な成否こそが、今後の日本の産業力と発信力を示す真のベンチマークになると考えているという。いったいなぜか。
高級車市場で注目の存在
2022年9月に発売された新型クラウンの売れ行きが好調だ。まさに刷新といえるモデルチェンジで、大胆にデザイン変更されたフロントマスクは社用車などにはふさわしくないのではないかと思っていたが、その印象は大きく外れた。
具体的には、販売開始の9月を除き、販売台数が2000台を割り込むことはなく、2023年に入ってから、3000台を割り込んだのは8月と9月の2か月だけである。多くの立体駐車場をクリアできるサイズなので、マンション住まいでも買いやすく、いまや貴重な高級車だ。
クロスオーバーの名称とは裏腹に最低地上高は145mmで、一般的なスポーツタイプ多目的車(SUV)より30mmほど低く、先代クラウンより10mm高いだけだ。そのため、名称に反して悪路には向かず、市街地でも小さなギャップを乗り越えるような運転には注意が必要だ。
また、SUVらしい名称から期待されるトランクスペースは、後席を立てた状態で450Lと決して大きくない。従来、ゴルフバッグが4個入る容量があったが、クロスオーバーは3個までである。
とはいえ、ゴルフや社用車の需要は年々減少している。そんななか、新型クラウン・クロスオーバーの位置づけは、サイズ、維持費、500万円前後という価格も含め、
「輸入車に踏み切れない個人オーナー」
にとっては賢い選択といえるだろう。