「全固体電池」は評価真っ二つ! 試作価格は従来「5~20倍」、韓国から刺客登場で日本EV電池戦略どうなる

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評価が二分されている「全固体電池」。その未来とは。

韓国開発、リチウム金属電池の実力

東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)
東京都内の自動車ショールームに掲げられたトヨタのロゴマーク(画像:AFP=時事)

 現時点において、業界内で期待されている電気自動車(EV)用の次世代電池といえば、全固体電池である。

 全固体電池とは、従来のリチウムイオン電池では液体だった電解質を固体化したものだ。電池としての性能はもとより、安全性にも優れているという大きなメリットを持つ。固体化電解質には大きくわけて

・硫化物系
・酸化物系
・ポリマー系

の3タイプが、電池全体の形状としては

・バルク型
・薄膜型

がある。

 これらはどれも長所と短所があるため、どれが一番優れているのかを評価するのはあまり意味がない。要するに適材適所、使用機器や使用環境に合わせて適宜選択することが重要となる。ちなみに自動車用としては

「硫化物系 × バルク型」

が必要なパワーとサイズの点で最も適しているといわれている。しかし、これまであまり話題になっていなかった自動車用2次電池の実用試験が韓国で行われ、その性能の高さがニュースになっている。その電池とは「リチウム金属電池」である。

 この名称で区分される電池は、実は過去にもあった。しかしそれは充電可能な2次電池ではなく使い捨ての1次電池だった。いわゆる単3形のリチウム乾電池がそれである。

 それに対して今回韓国のKAIST生命科学研究所とLGエネルギーソリューションが共同開発したEV用リチウム金属2次電池は、同サイズの従来型リチウムイオン電池に対して

「約1.5倍」

の能力を持っていると伝えられている。この性能レベルは単純に比較できないが、おおむね全固体電池のそれに近いといっていいだろう。

 具体的には従来型のリチウムイオン電池では600km程度だった最大航続距離を900kmまで延伸できたというもの。この電池はその電解物質には液体のホウ素酸塩-ピランを使っているのが特徴であり、構造的にもよりシンプルとなるという。この電解物質は液体電解質としては安全性も高く、EV用としては申し分ない。

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