「新型クラウン」の成否は、日本の未来を占う“真のベンチマーク”である

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筆者は新型クラウンの世界的な成否こそが、今後の日本の産業力と発信力を示す真のベンチマークになると考えているという。いったいなぜか。

クラウンとゴジラの共通点

2023年11月に発売されたセダンの新型クラウン(画像:トヨタ自動車)
2023年11月に発売されたセダンの新型クラウン(画像:トヨタ自動車)

 実際、初代ゴジラが米国人によって再編集されヒットした後、1998(平成10)年、2014年から、外国人監督によるゴジラ映画が次々と製作された。また、日本では子ども向けコンテンツになるたびにシリーズは終わるが、数年後にはゴジラのように復活を繰り返している。

 最近の例では、2016年に公開された『シン・ゴジラ』が日本で81億円の大ヒットを記録した。しかし、海外では既存のゴジラファンを除けば評判が悪く、北米で数億円、欧州で数百万円の興行収入にとどまったといわれている。

 この大失敗の原因も、日本のファンを重視しすぎた結果だという声もある。現在日本で公開中の『ゴジラ-1.0』は、海外興行を徹底的に意識しているといわれ、実際に北米では2023年12月初旬に公開された。

 その結果、北米における実写日本映画の最高興行収入を更新する大ヒットとなっている。評論家も観客も過去のどのゴジラ映画より高く評価しており、興行収入がどこまで伸びるかに注目が集まっている。なお、アカデミー賞の視覚効果賞部門にもノミネートされている。

 そして新型クラウンが誕生した2023年、豊田章男前社長のプレゼンテーションはまさに「海外で認められる」だった。

「クラウンが世界中の人々に愛されることで、日本がもう一度、元気を取り戻すことにつながれば、こんなにうれしいことはありません」

 戦後10年、日本の乗用車の「王冠(クラウン)」とコンテンツの「怪獣王」は、ほぼ同じ昭和の時代に誕生した。両者に共通するのは、半世紀以上にわたって世間の注目を浴び、ときに高い評価を受け、ときに厳しい批判を浴びながら、それでも再生を続けてきたことだ。

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