台湾の頼政権“反中”継続でも、「台湾有事」の可能性はまだまだ低いワケ
緊張続く台湾情勢
2024年、モビリティ企業はどういった地政学リスクに直面するのだろうか――。
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ロシアによるウクライナ侵攻は続き、中東では昨年秋以降、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が続き、イスラエルへの非難の声が強まっているが、これらの問題は新たに大きな変化が生じるかもしれない。
2024年は台湾やロシア、インドやインドネシア、メキシコや米国などで選挙が行われる選挙イヤーだが、その先陣を切って台湾で1月13日に次の指導者を選ぶ総統選挙が実施され、現在の蔡英文民進党政権で副総統を務める頼清徳氏が勝利した。
日本企業の間では近年、
「台湾有事」
を巡って懸念の声が広がっているが、モビリティ業界では有事によって台湾周辺の空や海の安全が脅かされ、ビジネスに大きな支障が生じるのではないかと心配の声が聞かれる。仮に有事になれば、中国が台湾周辺の制空権や制海権を握ってくる可能性があり、それはモビリティ企業のビジネスに大きな影響を与えることになる。
では、頼政権で対中関係はどうなるのか――。
頼政権は蔡英文氏の路線を継承し、欧米諸国との関係を強化し、中国の圧力には屈しない姿勢で臨んでいくことから、今後少なくとも4年間はこれまで通りの緊張関係が続くことだろう。
中国は民進党を独立勢力と位置付け、頼政権の台湾に対して軍事的、経済的圧力を加えていくことになる。蔡英文政権下では、中国は台湾産の農産物の輸入を突然停止するなどして経済的に威圧し、中国軍機が中台中間線を超えたり、台湾の防空識別圏に侵入したりするなど軍事的挑発を続けた。今後もこのような経済的威圧と軍事的挑発が続くことだろう。