航空業界の脱炭素化進まず! 切り札の「バイオジェット燃料」、民間企業にはコスト高すぎな現実

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世界の運輸システム全般を見ると、航空分野は脱炭素化の分野で最も遅れている。特に大型機による輸送は、脱炭素化の見通しがほとんど立っていない。

SAF供給の現実

さまざまなバイオマス原材料からの次世代バイオ燃料の製造プロセスの一覧(画像:NEDO技術戦略研究センター)
さまざまなバイオマス原材料からの次世代バイオ燃料の製造プロセスの一覧(画像:NEDO技術戦略研究センター)

 では、現時点でこれらのSAFの今後の商業的見通しはどうなっているのだろうか。ここではまず、現在の航空燃料市場におけるSAFの位置づけを調べる必要がある。

 国土交通省がまとめたデータによると、2020年の世界のSAF生産量は約6万3000kLになるという。これは、世界の年間航空燃料総需要のわずか

「0.03%」

にすぎない。その後、供給量は多少増加したと推測できるが、それでも圧倒的に不足している。

 SAFが民間航空輸送業界の脱炭素化計画で大きな役割を果たすには、まず増産が不可欠である。ちなみに、日本の民間航空輸送業界における航空タービン燃料油の年間消費量は約900万kLと推定されている。

 これに対し、2030年までのSAF導入目標は約170万kLである。この数字はどのようにして達成されるのだろうか。現在のSAFの供給量を考えると、その道のりは険しいといわざるを得ない。

 一方、航空機技術におけるSAFの使用は、実用上ほぼ問題のないレベルに達している。
既存の航空タービン燃料油に混合する事例が増えていることに加え、実証レベルでは100%SAFの運転も行われている。

 2023年11月28日、英ヴァージン・アトランティック航空の機体が大西洋横断飛行に成功し、100%SAFの初の商業定期便となったニュースは記憶に新しい。

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