もはや鉄道会社ではない? JR西日本の「組織改正」にみる、今後注目すべき事業戦略とは
将来は大手私鉄並み

ちなみに、大手私鉄はどのような状況なのか、2023年3月期の決算データから主な事業をピックアップしてみてみよう。
●阪急阪神ホールディングス(%は営業収益に占める割合)
・営業収益:9683億円
・うち都市交通事業:1856億円(19%)
・うち不動産事業:2820億円(29%)
・うち旅行事業:1914億円(20%)
・うち国際輸送事業:1633億円(17%)
●東急株式会社(同)
・営業収益:9313億円
・うち交通事業:1841億円(20%)
・うち不動産事業:2204億円(24%)
・うち生活サービス事業:5172億円(56%)
阪急阪神ホールディングス、東急株式会社のいずれも、グループの営業収益における交通事業の割合は約20%にすぎない。鉄道事業を源流としかつ交通事業を会社のベースとしており、一般的に鉄道会社というイメージがあるが、収益構造からいうと
「鉄道もやっている」
といったほうが正解だろう。
個別の事業をみると、交通事業と不動産事業は親和性が強いことがわかるが、それ以外ではどの分野に力を入れているかは鉄道会社により個性がある。東急にいたっては、東急百貨店や東急ストアといった生活サービス事業が営業収益の5割以上を占めており、こうして数字で表すと驚きをかくせない。
JR西日本は、長期ビジョン2032・中期経営計画2025において、事業ポートフォリオを再構築している。
・モビリティサービス分野:鉄道・交通、流通(物販飲食等)、ホテル、旅行
・ライフデザイン分野:不動産、ショッピングセンター、まちづくり、デジタル戦略、新たな領域
そして、今後はライフデザイン分野の拡大に挑戦し、連結営業利益に占める割合を2018年の20%弱から2032年には
「40%」
を目指すとしている。
現時点では人口減少が既定路線であり、ますます鉄道事業が先細りするのは間違いない。また、モビリティサービス分野は、インバウンドなど追い風が吹くと大きな収益をもたらすものの、新型コロナウイルス感染拡大でその脆弱(ぜいじゃく)性を実感したばかりだ。やはり、ライフデザイン分野の拡大は必須であり、今後はどの事業が核となって育っていくのか興味深い。