もはや鉄道会社ではない? JR西日本の「組織改正」にみる、今後注目すべき事業戦略とは

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JR西日本は、2024年1月1日付で組織改正を実施した。とりたててメディアなどに取り上げられていなかったが、組織改正の内容が興味深い。その内実とは。

鉄道事業以外の躍進

JR西日本のウェブサイト(画像:JR西日本)
JR西日本のウェブサイト(画像:JR西日本)

 1987(昭和62)年4月のJR発足後の事業構造はどうだったのだろうか。JRになってから5年後の1992(平成4)年3月期の連結決算データでは

・営業収益:10785億円
・うち運輸業:9013億円

とあり、グループ全体の営業収益の

「約84%」

が運輸業の収入で占められており、“まさに鉄道会社”といった感じだった。当然、営業施策やマーケティングの軸足は鉄道事業にあり、鉄道本部内の営業本部が取り仕切っていたのはいうまでもない。

 さらに、JR西日本の連結決算データをみてみよう。なお、%は営業収益に占める割合である。

・2002年3月期:営業収益:11906億円、うち運輸業:8521億円
・2012年3月期:営業収益:12876億円、うち運輸業:8390億円
・2023年3月期:営業収益:13955億円、うち運輸業:7503億円

 このように、

・2002年3月期:約72%
・2012年3月期:約65%
・2023年3月期:約54%

と、グループ全体の営業収益における運輸業の割合が低下していることがわかる。

 また、営業収益を1992年3月期と比較すると約3000億円も増加しており、

「運輸業の落ち込みを鉄道事業以外でカバーする」

どころか、事業の柱となってきた感がある。30年という時間をかけて、鉄道事業以外の領域を育ててきたといえよう。

 JR西日本グループとして、今や営業収益の約半分は鉄道事業以外で稼いでいる。

・JR発足以降運輸業の収益が減少傾向にある
・人口減少社会がベースにある

ことを踏まえると、今後も運輸業の収入が減少しつづけるのは必然だ。

 となると、鉄道事業に軸足を置いてマーケティングを考えるのではなく、グループとしてマーケティングを通じた相乗効果と新たな価値創造にかじを切るのは自然な流れといえる。

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