リニア新幹線工事 川勝知事の発言がどんなに奇異でも、早期着工を目指すべきでない理由

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リニア中央新幹線の開業時期が不透明になってきた。2023年12月、JR東海は開業時期を「2027年」から「2027年以降」に変更することを決定し、国土交通省の認可を得た。公共事業を実施するにあたっては、反対派の声にも耳を傾け、それがどんなに奇矯なものであっても説得する努力が不可欠である。

求められる真摯な対話

報道陣に公開されたリニア中央新幹線の改良型試験車。2023年3月2日午後撮影。山梨県都留市(画像:時事)
報道陣に公開されたリニア中央新幹線の改良型試験車。2023年3月2日午後撮影。山梨県都留市(画像:時事)

 リニア中央新幹線の開業時期が不透明になってきた。2023年12月、JR東海は開業時期を「2027年」から「2027年以降」に変更することを決定し、国土交通省の認可を得た。

 変更理由は、静岡県が、トンネル工事によって県内を流れる大井川の水量が減少し、南アルプスの生態系に悪影響を及ぼす懸念があるとして、着工を認めていないためだ。

 リニア中央新幹線の静岡県内着工問題は、川勝平太静岡県知事の奇矯な発言によってたびたび取り上げられる。2024年に入り1月8日、川勝知事は地元の静岡朝日放送のテレビ番組で、神奈川県と山梨県だけを「部分開業」すればいいと持論を展開した(自身が以前提唱・撤回していた)。

 これに対して、コメンテーターの須田慎一郎氏は「支離滅裂、なにをいってるのかさっぱりわからない」と切り捨てた。12日には「2037年までにリニア問題の解決を図る」とも。

 本来なら大々的に報道され、議論されるべき大井川の水量問題ではなく、川勝知事の発言が注目された結果、静岡県がリニアにかたくなに反対しているような印象を与えてしまったのだ。

 では、事業者であるJR東海は川勝知事の発言を無視して早期着工を目指すべきなのか。残念ながら、それは得策ではない。必要性ばかりを強調して事業を推し進めた結果、事業が泥沼化するケースは少なくない。

 公共事業を実施するにあたっては、反対派の声にも耳を傾け、それがどんなに奇矯なものであっても説得する努力が不可欠である。

 本稿では、公共事業における真摯な対話の重要性を、過去の事例を通して明らかにしたい。

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