産まれる時代を間違えた? スバル「アルシオーネSVX」はバブルあってこそのプレミアムクーペだった【連載】90’s ノスタルジア・オン・ホイールズ(8)

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1990年代は、バブル崩壊後も未来への夢と希望に満ち、国内の自動車産業も活況を呈していた。本連載では、当時のクルマ文化を探るとともに、興奮を読者に甦らせる。

時代錯誤の逸品

1990年代のイメージ(画像:写真AC)
1990年代のイメージ(画像:写真AC)

 結局のところ、アルシオーネSVXは発売開始から販売を終えた1996(平成8)年12月までの5年3か月の間に国内では6000台足らずを販売するに止まった。この数字では発売されていた時期でさえ、街中で見掛けることができた例はまれである。

 ただし、アルシオーネSVXが最大の身上としていた高速GTというキャラクターとそれを裏打ちした確かな性能は、海外で日本以上に高く評価されることとなる。

 スバルSVXとしての海外での通算販売台数は2万台弱。もともとスバルの全天候性能に注目していた層におけるプレミアムモデルという新たなキャラクターは“それなりに実を結んだ”ということである。

 ここからはあくまで仮定の話だが、もしもアルシオーネSVXがバブル崩壊直前ではなくバブル全盛期、もしくはバブル直前に市場に投入されていたらどうなっていたのか。その完成度の高さから、

「全天候高速GT」

としてアウディ・スポーツクワトロなどにも匹敵する名声を得た可能性もあったといったら夢を見すぎだろうか。

 どのようなクルマでもそうなのだが、発売された時点での国の経済状況と市場の高揚感と成熟度は極めて重要である。ある意味、クルマ本体の完成度よりも重要だといってよいかもしれない。

 スバル・アルシオーネSVXは“産まれる時代”を間違えた。しかしそうした市場との関連も、誕生から四半世紀が過ぎてしまえば無関係である。アルシオーネSVXの存在は、会社の熱量がピークに達していた時代のスバルが産んだ名車にほかならない。令和の今、さりげなくこのクルマに乗っていたらかなりカッコよいと心から思える1台である。

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