成田空港の「白タク」やりたい放題 屈辱的だが、一網打尽にできない複雑事情

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成田空港周辺での「白タク」問題が深刻化している。白タクとは、営業許可を持たずに自家用車でタクシー業を営むことであり、罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」だ。自動車さえ持っていれば誰でもできる“手軽な犯罪”である。

利用者も国際化

自家用車のイメージ(画像:写真AC)
自家用車のイメージ(画像:写真AC)

 成田空港周辺での「白タク」問題が深刻化している。白タクとは、営業許可を持たずに自家用車でタクシー業を営むことであり、自家用車さえあれば誰でもできる「気軽な犯罪」である。

 新型コロナが5類に移行して以降(2023年5月)、訪日観光客の増加で白タクが目立ってきた。コロナ以前は中国人観光客をターゲットにした白タクが多かったが、現在は欧米人などにも利用者が広がっている。

 空港で乗客に直接声をかけて乗車させるケースも多い。インターネット上では、英語や中国語を話す客引きのための人材募集も目立つ。驚くべきことに、彼らは違法行為にもかかわらず、企業名を出して求人を行っている。

 さて、白タクが横行する成田空港に安全を取り戻すにはどうすればいいのか。

日本イメージ悪化の可能性

成田空港(画像:写真AC)
成田空港(画像:写真AC)

 白タク急増を受け、成田空港は取り締まり強化や外国人観光客への啓発に取り組んでいる。11月、警察官らは空港で

「白タクは違法で、危険です」

と書かれた英語のチラシとポケットティッシュなどを配布した。同月には国土交通省も会議を開き、抜本的な対策に取り組んでいる。

 いうまでもなく、白タクは利用者を危険にさらす犯罪であり、事故が起きた場合の補償も不透明である。さらに、白タクは

・日本のタクシー業界全体に対する信頼を損なう恐れがある
・外国人観光客に「日本は危険な国だ」という印象を与える恐れがある

など、その悪影響は大きい。

 海外旅行が盛んだった1989(平成元)年、タイへの旅行中の日本人夫婦が白タクに乗ったところを強盗に襲われ、殺傷されるという事件が起きた。これをきっかけに、海外タクシーだけでなく、

「タイ旅行そのもの」

を危険視する人が増えた。

 今後、白タクに乗った外国人観光客に何らかの被害が出れば、インバウンド需要の拡大に支障をきたしかねないのだ。

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