成田空港の「白タク」やりたい放題 屈辱的だが、一網打尽にできない複雑事情
成田空港周辺での「白タク」問題が深刻化している。白タクとは、営業許可を持たずに自家用車でタクシー業を営むことであり、罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」だ。自動車さえ持っていれば誰でもできる“手軽な犯罪”である。
SNSアプリの悪用

現状の対策には課題がある。
成田空港や警察の取り組みは、刑事罰の強化にもかかわらず、白タク問題の解決には至っていない。例えば、中国語のアプリを使って支払いをすることで摘発を逃れるケースも増えており、「友人を送迎している」といういいわけで逃れるケースも少なくない。
しかし、白タクは取り締まりが難しい。インターネットで申し込みから支払いまでできるものが多く、「知人を乗せている」と強弁される場合もある。
12月に都内で白タクを営業していた中国籍の男が逮捕された事件では、犯人は中国で多くの人が利用しているSNSアプリ「ウィーチャット」を使って客を集めていた。このケースでは、たまたま乗客が「(ドライバーとは)他人です」ということで逮捕につながった。
また、さまざまな意味で最近話題となっているブッキング・ドットコムなどの海外旅行予約サイトで空港送迎サービスを利用したところ、配車されたのが白タクだったというケースも相次いでいる。空港送迎を事前に申し込むために海外旅行予約サイトを利用する旅行者は多いが、サイト運営者は業者の内部事情には関与していない。
さらに、海外旅行予約サイトは旅行業法の適用外であり、外国法人であることが多いため、行政指導や取り締まりが難しい。その結果、白タクには、副業としてやっている個人から組織的な事業者までさまざまなタイプが存在する。