成田空港の「白タク」やりたい放題 屈辱的だが、一網打尽にできない複雑事情

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成田空港周辺での「白タク」問題が深刻化している。白タクとは、営業許可を持たずに自家用車でタクシー業を営むことであり、罰則は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」だ。自動車さえ持っていれば誰でもできる“手軽な犯罪”である。

法令周知の重要性

成田空港(画像:写真AC)
成田空港(画像:写真AC)

 上記の複雑な理由から、残念ながら白タクを一度に撲滅する効果的な方法はない。

 まず考えられるのは取り締まりの徹底である。コロナ以前、中国人観光客をターゲットにした白タクが増殖していた羽田空港では、国土交通省関東運輸局と警視庁が連携して取り締まりを強化した。その結果、白タクは減少したという。

 また、白タクは日本では公認されておらず、違法であることを周知することも重要だ。2018年の春節前、日本政府の要請を受け、在日中国大使館は訪日観光客に対し、

・日本で自家用車は営業車両としては使えない
・資格のない運転手の車両が事故に遭うと十分な賠償を得られない

ことを積極的に警告した。これが功を奏したようで、コロナ禍前には成田空港や羽田空港などで白タクが減少した。

 さらに、正規のタクシー会社も外国人観光客を誘導するための対策を講じることが望まれる。コロナ禍以前は、海外から成田空港に到着後、タクシー配車アプリで白タクを予約して利用するケースもあった。ゆえに、海外向けの正規のタクシーを予約できるサービスの利用促進も欠かせない。

 例えば、日本で多くのユーザーを持つタクシーアプリ「Go」は、2022年から中国の「アリペイ」「シートリップ」、韓国の「カカオT」と提携し、これらのアプリと連携したサービスを提供している。

 2023年11月からは「GO」自体も海外の携帯電話番号で外国人がユーザー登録できるようになった。白タクを撲滅するには、こうした正規のタクシーが簡単に手配できるようになった事実を周知徹底することが最良の方法だろう。

 日本の「おもてなし」は海外でも高く評価されている。その玄関口である成田空港で違法な白タクが横行し、客引きが空港内をうろついているのは“屈辱”である。違法な白タクを故意に営業している個人や企業に対する強力な取り締まりが求められている。

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