イタリア「一帯一路」離脱も、中国の主眼はすでにグローバルサウスに置かれている
一帯一路離脱の舞台裏

先進7か国(G7)のなかで唯一、「一帯一路」に参加していたイタリアが、正式に離脱を通告した。一帯一路は、習近平国家主席が2013年に提唱した、巨大な経済圏を建設する構想である。この結果、グローバルサウスと呼ばれる発展途上国や新興国との関係を強化する中国の動きに注目が集まっている。
イタリアが一帯一路への参加を決定したのは2019年3月のことだった。これは、欧州連合(EU)に懐疑的だったジュゼッペ・コンテ首相(当時)が、中国の巨額投資を足がかりに財政難を解消する狙いがあった。
これにより、自由港として知られる北東部トリエステ港の鉄道インフラと、貨物取扱量で国内有数の港である北西部ジェノバ港の整備に中国企業が参加することになった。中国はこれを「陸のシルクロード」と「海のシルクロード」を結ぶ重要な拠点と位置づけ、欧州諸国との貿易拡大を意図した。
イタリアと中国の突然の接近は、EUに警戒心を引き起こし、西側諸国との関係に影響を与えた。特に、中国との経済関係における透明性の欠如や技術流出のリスクが懸念された。さらに、米国はイタリアへの防衛分野の機密情報の提供を停止することを示唆し、国際関係における不均衡と懸念が増大した。さらに、中国の港湾整備計画が将来軍事目的に利用されるのではないかという可能性も危惧された。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で経済協力の成果は限定的だった。特に象徴的だったのは、一帯一路の目玉として計画されていたジェノバ港の拡張工事だ。大型コンテナ船に対応するための工事が始まったが、EUのコロナ復興基金が財源となっており、中国企業は参加しておらず、投資もしていない。
英フィナンシャル・タイムズ紙によると、中国からイタリアへの直接海外投資は、2019年の6億5000万ドルから2022年には9110万ドルに減少した。イタリア政府の統計によると、対中貿易は輸入で2019年の317億ユーロから2022年の575億ユーロに増加したが、輸出は130億ユーロから164億ユーロとわずかな伸びにとどまった。