高齢者に新車を勧めるのは良いことか? 自動車ディーラーが抱える「道徳的ジレンマ」、事故の懸念が頭をよぎる
自動車業界でいえば、高齢者にクルマを買ってもらわなければ企業の存続が危ぶまれるかもしれないが、それ自体はよいことなのか悪いことなのか。
安全性強化が急務

日本は高齢化が進んでいる。2022年10月1日時点、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は29%で、3人にひとりが高齢者ということになる。この割合は今後も増え続け、それに合わせて社会も変化していかなければならない。
自動車業界でいえば、高齢者にクルマを買ってもらわなければ企業の存続が危ぶまれるかもしれないが、それ自体はよいことなのか悪いことなのか。
大前提として、高齢者に新車を買ってもらうことはビジネスにとって「よい」ことである。しかし、ディーラー側としては、どんな人にどんなクルマを買ってもらえばいいのかを吟味する必要があるだろう。
自動車メーカーは日進月歩で新車を開発している。環境問題に配慮した低燃費車、いわゆるハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)も多く販売されている。また、より環境に優しい電気自動車(EV)もある。
また、現行法の改正により、ブレーキアシストや踏み間違い防止アシストなど、事故を未然に防ぐ先進安全技術が標準装備となり、安心感が向上している。とはいえ、日本で走っているすべてのクルマにこれらの機能が搭載されているわけではない。
池袋で高齢者の運転するクルマが暴走した痛ましい事故は記憶に新しい。この事故の当事者が運転していたクルマには、安全装置が搭載されていなかった。もし搭載されていれば、あのような事故は起きなかったかもしれない。
人間は年を取れば取るほど、身体能力や認知能力は衰えていく。これは避けられないことなので、クルマがそれを助けてあげるしかない。2010年初頭より古いクルマには、それを補助する機能が搭載されていないのだから、ディーラー側は古いクルマに乗っている高齢者に新しいクルマを積極的に提案したほうがよいだろう。