レアメタル争奪戦! アフリカ南部の「鉄道建設」が、どう見ても米中間の“大きな火種”になっているワケ【連載】方法としてのアジアンモビリティ(10)

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急速に変化・成長する経済圏として、世界的に注目されているアジア。この地域発のモビリティ・アプローチが、今後の経済において重要な役割を果たすことはいうまでもない。本連載では、アジアにおけるモビリティに焦点を当て、その隆盛に迫る。

争奪戦激化

2023年7月4日、コンゴ民主共和国のチセケディ大統領、ザンビアのヒチレマ大統領、アンゴラのルレンソ大統領は、アンゴラのロビト鉄道回廊を利用して鉱物資源の輸出を促進する協定の調印式を行った(画像:コンゴ民主共和国大統領府)
2023年7月4日、コンゴ民主共和国のチセケディ大統領、ザンビアのヒチレマ大統領、アンゴラのルレンソ大統領は、アンゴラのロビト鉄道回廊を利用して鉱物資源の輸出を促進する協定の調印式を行った(画像:コンゴ民主共和国大統領府)

 米国と欧州連合(EU)は9月9日、アンゴラ、コンゴ民主共和国、ザンビアのアフリカ3か国を結ぶ鉄道などを整備する「ロビト回廊」計画を発表した。

 さらに、米国とEUは、10月25日にはベルギー・ブリュッセルで開催された「グローバル・ゲートウェイ・フォーラム」で、アンゴラ、コンゴ、ザンビア、アフリカ開発銀行(AfDB)、アフリカ金融公社(AFC)との間でロビト回廊の開発協力の覚書に署名した。

 これに先立ち、すでに7月にはアンゴラ、コンゴ、ザンビアの首脳が集まり、ロビト回廊の鉄道サービスと物流支援を、30年間のコンセッション方式で「ロビト・アトランティック鉄道」に移管することを決定していた。ロビト・アトランティック鉄道は、

・ヴェクチュリス(ベルギー)
・トラフィグラ(スイス)
・モタ・エンジル(ポルトガル)

で構成されている。

 ロビト回廊は、米国が主導する「世界インフラ投資パートナーシップ(PGII)」の一環だ。PGIIは、中国の一帯一路構想(中国の習近平国家主席が提唱し、中国が主導するアジア、ヨーロッパ、アフリカ大陸にまたがる経済圏構想)に対抗するため、2022年6月の先進7か国(G7)エルマウ・サミットで発足した。G7全体で民間資金を含め6000億米ドルを発展途上国のインフラ投資支援に投ずる計画だ。

 ロビト回廊が米中間の大きな火種となりかねない理由は、レアメタルの争奪戦と直結しているからだ。ザンビア北部からコンゴには「カッパーベルト」と呼ばれる銅鉱床地帯が広がっている。

 しかも、この地域にはコバルトなどの重要鉱物も豊富だ。英国を拠点とする業界団体コバルト・インスティテュートによると、世界全体のコバルト生産量(2022年)は19万8000tで、そのうちコンゴの生産量が14万5000tで全体の

「73%」

を占めている。中国メディアの観察者網は10月27日、

「欧米が中国との鉱産資源確保競争に乗り出した」

と報じている。8月に西村康稔(やすとし)経済産業相がアンゴラ、コンゴ、ザンビアを含むアフリカ6か国を訪問した大きな狙いも、重要鉱物の確保にある。

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