「日本を裏切るなんて」 インドネシア初の高速鉄道開業でネットにあふれる軽薄な書き込み、建設支援は中国も、真の敵は“ヨーロッパ”である

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中国の支援で建設されていたジャカルタ~バンドン高速鉄道がついに開業、10月18日から商用運行がスタートした。東南アジア初の高速鉄道ということで、日本のメディアからも大々的に報じられていた。しかし、記事のコメント欄やSNSには、中国、インドネシアを侮辱、罵倒するような声であふれかえり、目を覆いたくなるほどだった。

高速鉄道開業と日系メディア批判

10月2日、ついに開業したジャカルタ~バンドン高速鉄道(画像:高木聡)
10月2日、ついに開業したジャカルタ~バンドン高速鉄道(画像:高木聡)

 2023年10月2日、中国の支援で建設されていたジャカルタ~バンドン高速鉄道がついに開業、去る18日から商用運行がスタートした。

 従来の在来線特急で3時間以上かかっていたところが、1時間弱に短縮される。一方、料金は在来線特急と比べてほぼ据え置きとなる予定で、11月30日までは在来線特急よりも安い15万ルピア(約1500円)の割引料金が適用される。両都市間の移動は劇的に改善、鉄道利用者が今後増加していくであろうことはいうまでもない。

 東南アジア初の高速鉄道ということで、日本のメディアからも大々的に報じられていた。しかし、記事のコメント欄やSNSには、

「中国、インドネシアを侮辱、罵倒するような声」

であふれかえり、目を覆いたくなるほどだった。自動翻訳で簡単に意図していることがわかってしまう今、日本人のこのような反応は、インドネシアの若年層に届いており、

「日本に対するイメージの悪化」

にもつながっている。

 本件と直接関わっているわけではないが、数か月前、国際政治の若手研究者が当地滞在中、インドネシアは反米国家だとするニュアンスをSNSに日本語で投稿したところ、あっという間にインドネシア人の間に広まり、在留邦人すらからも批判の声が殺到し、炎上状態となった。

 最終的に当人が謝罪することで鎮火したが、そのような状況が既に起きていながらもなお、高速鉄道開業に絡み、インドネシアが日本を裏切った、はたまた中国化していると公然と書き立て、あおる日系メディアがあるのには閉口させられる。

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