三菱自動車「中国市場」撤退へ 世界第2位の経済大国に、もはや経済「棚上げ論」は通用しないのか
大手自動車メーカーの三菱自動車が、世界最大の自動車市場である中国から撤退する方針であることが明らかになった。かつての「政治は政治、経済は経済」な関係性は失われたのか。
日系メーカーの苦戦
大手自動車メーカーの三菱自動車が、世界最大の自動車市場である中国から撤退する方針であることが明らかになった。
三菱自動車は11年前から湖南省で中国メーカーと合弁で車の現地生産を続けてきた。しかし、近年中国国内では電気自動車(EV)へのシフトが急速に進み、エンジン車の中心の三菱自動車は苦戦を強いられ、2023年3月から生産を停止していた。今後、中国メーカーとの合弁事業を解消し、在庫の新車販売が終わり次第、中国市場から撤退するという。
他の大手自動車メーカーでも、2023年1月から8月までの中国での販売台数は前年同期比で、
・マツダ:37.8%
・日産:26.3%
・ホンダ:24%
・トヨタ:5%
とそれぞれ減少しており、エンジン車を中心とする日系メーカーの苦戦は今後も続くと見られ、戦略の見直しを迫られている。しかし、中国市場は大手自動車メーカーを含み日本企業にとって今後より難しいものになりそうだ。
「相互依存」だった日本と中国
今日の中国は、以前の中国とはまるで異なる。以前の日中関係に広く漂っていたのは、
「政治は政治、経済は経済」
という風潮だ。
戦後、日本は高度経済成長を経験して経済主要国となったが、当時中国の経済力は日本にはるか及ばず、日本は政府開発援助などで中国を支援し、経済発展を目指す中国としても日本が重要なパートナーだった。
経済発展を目指す中国としては政治問題で日本との関係が冷え込み、経済援助が停滞するなどは避けたく、当然、日本にとっても“世界の工場”化する中国が極めて魅力的な存在で、そこには一種の
「相互依存」
があった。1989年の天安門事件の際も、欧米が共同で制裁を実施するなか、日本は中国を孤立させるべきではないと共同制裁には同調せず、新規円借款の一時的な凍結などにとどめた。