渋谷の再開発は成功する? IT企業大量誘致で“オフィス都市”の未来、ポストコロナの東急の戦略とは

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東急が提唱する「私鉄3.0」とは何か。

ホテルとオフィスの開発

東浦亮典『東急百年』(画像:ワニブックス)
東浦亮典『東急百年』(画像:ワニブックス)

 2011(平成23)年度から2020年度にかけて、東急が保有する渋谷を中心とするオフィス床面積は約2.6倍に増えたが、そこにGMOインターネット、グーグル、ミクシィなどが入居していった。

 オフィス需要に関してはコロナによって大きく勢いをそがれたが、渋谷のビルに入居しているIT大手はオフィスを維持したところが多く、リアルのコミュニケーションの重要さと渋谷の街の魅力がこの背景にあると著者は分析している。

 なお、渋谷ではホテル不足も問題であったが、ホテルだとほそぼそと部屋を分け、水廻り工事などの手間も必要となることから、収益性の高いオフィスビルの開発が先行した。しかし、今後はホテルの建設も進んでいくとのことである。

 今後の渋谷では、開発が遅れている桜丘地区(恵比寿寄りの山手線の外側の地域)の再開発、東急百貨店本店の跡地の再開発などが控えており、まだまだ再開発は続くとのことである。

 このほか、本書は東急の100年の歴史についても教えてくれており、東急の過去と現在と未来がわかるような内容になっている。

 もちろん、本書で書かれているのは東急の内部から見た景色であり、外側から見ればまた違った景色が見えてくるのかもしれないが、首都圏の私鉄のなかでも大きなアクションを起こしている東急の姿を見ることで、今後の鉄道やまちづくりが見えてくるかもしれない。

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