京都市の「観光公害」が止まらない! ホテル客室稼働率“8割超”の揺るがぬ現実、JR西日本の対策は効果あったのか?
外国人観光客の殺到で混雑が続く京都市で、JR西日本や京都府タクシー協会が緩和策を打ち出している。観光客が最も増える紅葉時期を前に効果が出ているのだろうか。
紅葉時期は観光客急増の見通し

京都市観光協会によると、観光客が比較的少ない時期の8月で市内主要ホテル109施設の客室稼働率は
「69.3%」
で、前月を3.0ポイント、前年同月を19.4ポイント上回った。うち、半数近くが外国人観光客の宿泊だ。コロナ禍前の2019年8月に比べると、13.8ポイント低いが、コロナ禍前に近い状態まで回復してきた。
京都市を訪れる観光客は例年、11月と12月上旬の紅葉時期が最も多くなる。予約状況から推計した11月の客室稼働率は、コロナ禍前に匹敵する83.2%にはね上がる見通し。京都市観光協会は
「円安や国際線の就航復活により、中国以外の地域で訪日需要が高まり続けるのでないか」
と分析している。
紅葉時期に人気が高いのは、清水寺や東福寺、永観堂などの名所が集まる東山エリアと、渡月橋やトロッコ列車から眺める景色が人気の嵐山エリア。特に外国人観光客は乗り換えを嫌がり、京都市バスの1日券で東山エリア、JRグループの列車が乗り放題となるジャパンレールパスで嵐山エリアへ向かう人がこれまで多かった。
しかし、京都市バスの1日券は2024年3月の廃止に向け、9月末で販売が終わっている。うまく外国人観光客を誘導しなければ、紅葉時期に嵯峨野線の列車がこれまで以上の大混雑となり、積み残しが出ることも考えられる。
京都駅のタクシー待ち改善は市全体のタクシー不足を解消することができなくても、駅前の混雑緩和に少し役立ちそうに見えた。だが、嵯峨野線の混雑は小手先の対応ではどうしようもない。抜本的な対策を打ち出す時期に来ているようだ。