観光公害防げ 「外国人 = 特別料金」はアリか、ナシか? インバウンドはコロナ前水準回復のいま考える
訪日外国人の新たな消費傾向

外国人観光客受け入れが再開して以降、訪日外国人数は順調に回復している。
日本政府観光局のデータによると、2023年9月の人数は2019年同月と比べて96.1%の
「218万4300人」
となっている。円安の影響も受け、今後も増加が予想される。
人数の回復以上に進んでいるのが、消費額の増加である。観光庁の最新発表によると、2023年7月から9月までの訪日外国人の旅行消費額は次のとおりだ。
・2019年:1兆1818億円
・2023年:1兆3904億円(18%増)
また、8月の統計を見ると、ひとり当たりの旅行支出額の平均は20万4509円となり、これは2019年と比べて
「32%増」
である。もちろん円安の影響もあるが、訪日外国人の訪日意欲がコロナ前と比べて増していることは明らかだ。
実際、航空券の値段が高いにもかかわらず、日本旅行を計画する外国人が増えていることは、経済的に裕福な層がいる可能性を示唆している。
例えば、米国~アジア便の航空券価格は2019年に比べて6割高い。このような背景から、価格に敏感な旅行者の数は減少している可能性がある。その結果として、高価な航空券を購入した訪日外国人のなかには、
・購買意欲
・体験への投資意欲
が高い富裕層が多いと推測される。
また、コロナ禍以前に見られたアジア諸国からの“爆買い”と比較すると、現在の訪日外国人の消費傾向は顕著な変化を示している。特に、体験型観光への志向が強まってきている。
体験型観光とは、旅行者が単に観光名所や名所を見るために目的地を訪れるのではなく、現地の文化や環境に浸り、実際に体験することに重点を置く旅行スタイルのことである。このような消費傾向の変化を捉えて、日本の観光業界も
「質の高いサービス」
を提供する方向にかじを取るべき時期に来ている。