観光公害防げ 「外国人 = 特別料金」はアリか、ナシか? インバウンドはコロナ前水準回復のいま考える
外国人観光客受け入れが再開して以降、訪日外国人数は順調に回復している。日本政府観光局のデータによると、2023年9月の人数は2019年同月と比べて96.1%となっている。
ヴェネツィアの決断
具体的な取り組みの例として、イタリアのヴェネツィアが挙げられる。世界遺産にも認定されているこの都市は、世界中からの観光客が増加しており(2019年は年間約2000万人)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から
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「危機遺産」
への指定勧告がなされている。
この事態を受け、ヴェネツィア市議会は、2024年以降観光シーズンのピーク時に14歳以上の日帰り観光客から5ユーロ(約790円)の入場料を徴収することを決定している。この料金は、街への入場時に必要とされるもので「水の都」ヴェネツィアとしてのブランド価値を保護・維持するための施策として期待されている。
日本は、ヴェネツィアと同様の対策を早急に検討すべき段階にある。外国人富裕層をメインターゲットとした観光戦略のなかで、観光客が殺到して街のブランドが損なうことを避けるための取り組みだからだ。
現在、この施策にもっとも真剣に取り組んでいるのは京都市である。同市では、観光公害を抑制するために市営バスの「バス1日券」を2024年3月に廃止するという決断を下している。
さらに外国人観光客を念頭に、路線ごとの運賃差を設けることも検討している。当初、観光客のみに高い運賃を課すことも検討されたが、公共交通の
「同一料金原則(高齢者の割引は除く)」
に従い、その方針は断念された。現在は、観光客の利用が多い路線にのみ運賃差を設ける方針などが議論されている。