観光公害防げ 「外国人 = 特別料金」はアリか、ナシか? インバウンドはコロナ前水準回復のいま考える
外国人観光客受け入れが再開して以降、訪日外国人数は順調に回復している。日本政府観光局のデータによると、2023年9月の人数は2019年同月と比べて96.1%となっている。
観光地のブランド価値と特別料金設定
富裕層の外国人観光客は単なる観光よりも、特別な体験を求め、それに対する支出も惜しまないことが明らかになっている。
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例えば、7月に開催された京都の祇園祭で、最大の見どころのひとつである「山鉾巡行」を見るためのプレミアム観覧席として1席40万円の席が発売された。座席は外国人がゆったり座れる椅子が用意され、畳と座布団は和風に仕上げられた。また、英語と中国語のイヤホンガイドが用意され、飲食を楽しみながら祭りの光景を楽しむことができた。この観覧席は用意した84席のうち65席、つまり8割近くが売れ、富裕層をターゲットとした戦略が成功した例となった。
また、青森ねぶた祭の100万円のVIP席のような高額席も数多く設置された。これらの成功は、彼らが高いコストパフォーマンスを求めていることを明確に示している。
長野県松本市と岐阜県高山市では、地域をひとつの観光圏として売り出す観光開発が本格化している。両市が目指しているのは滞在型の観光地である。このような取り組みは、日本全国でのトレンドとなっており、外国人富裕層を対象とした観光施策への関心が高まっている。
こうした流れのなかで、「外国人料金」の設定を検討する時期に来ている。
コロナ禍以前、京都を含む多くの観光地では、外国人観光客の殺到によって地域住民の生活環境が悪化していた。この状況は彼らの生活に影響を与えただけでなく、観光地としてのブランド価値をも低下させた。
今後は「量より質」が求められるなか、施設や公共交通機関の利用に特別料金を設定することで外国人観光客の流入を抑えることは、極めて重要な検討課題である。