五輪断念で北海道新幹線「札幌延伸」の延期避けられずも、長く見ればむしろ“プラス要素”のが多いワケ

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札幌市は2030年の冬季五輪招致を断念した。共同通信が関係者への取材に基づいて10月7日に報じた。その結果、北海道新幹線の札幌延伸は急ぐ必要がなくなった。これは北海道経済にどのような影響を与えるのだろうか。

五輪招致の経緯

北海道新幹線(画像:写真AC)
北海道新幹線(画像:写真AC)

 札幌市は2030年の冬季五輪招致を断念した。共同通信が関係者への取材に基づいて10月7日に報じた。その結果、北海道新幹線の札幌延伸は急ぐ必要がなくなった。これは北海道経済にどのような影響を与えるのだろうか。

 まずはっきりさせておきたいのは、札幌延伸は当初から冬季五輪に間に合わない予定だったということである。公式に発表された延伸開業は2031年春だった。それが、招致が成功した場合に前倒しされる可能性があるとうわさされていただけである。

 したがって、本来は開業後に2034年大会の招致を目指すべきであった(10月14日、札幌市の秋元克広市長は2034年の大会招致も事実上困難という認識を示した)。しかし、札幌市は2030年の招致にこだわり続けてきた。

 その理由はなぜか。

 冬季五輪は2014年、当時の上田文雄市長が招致を表明したことから始まった。翌年の市長選で新たに当選した秋元克広市長のもと、招致活動が本格化した。当時は2026年を目指していた。

 しかし、2018年に胆振東部地震が発生し、招致活動は中断。再び2030年大会の招致を目指すことになった。その際、招致年を2度変更すると、国際オリンピック委員会(IOC)の選考過程で不利になるとの懸念があった。

 2020年以降、心機一転という形で2030年招致への機運醸成に努めてきた。アスリート育成にも力を入れ、こうした背景から札幌の政財界では「いまさら再延期は考えにくい」という見方が主流だった。

 確実性が不透明な五輪招致とは対照的に、新幹線は工期が遅れても確実に進む事業である。したがって、2030年の冬季五輪招致を断念した場合の経済効果は極めて小さいと考えられるのだ。

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