五輪断念で北海道新幹線「札幌延伸」の延期避けられずも、長く見ればむしろ“プラス要素”のが多いワケ
札幌市は2030年の冬季五輪招致を断念した。共同通信が関係者への取材に基づいて10月7日に報じた。その結果、北海道新幹線の札幌延伸は急ぐ必要がなくなった。これは北海道経済にどのような影響を与えるのだろうか。
ラピダスと札幌再開発事業の可能性

さらに現在、北海道では五輪招致など問題ではない、経済を活性化させるイベントが起きている。千歳市のラピダスの工場建設である。
多くの人にとってラピダスはまだ新しい名前かもしれない。ソニー、トヨタ自動車、デンソー、キオクシア、NTT、NEC、ソフトバンク、三菱UFJ銀行など日本の大手企業8社が出資して2022年8月に設立された半導体メーカーだ。
日本政府から約700億円の開発資金と約2600億円の補助金を受けており、日本での次世代半導体の量産を目指す「国策企業」とされている。ラピダスは2023年2月に千歳市への工場建設を発表して以来、県内外から大きな注目を集めている。
投資総額は
「5兆円規模」
とされる。札幌市の試算では、冬季五輪の直接的な経済効果は5087億円とされている。ラピダスの経済効果は五輪をはるかに上回るのだ。
近年、台湾の半導体大手TSMCの熊本県への進出が、熊本県のみならず九州全体の周辺産業を加速させ、それが引き金となって熊本空港へのアクセス鉄道計画が現実味を帯びてきたことも記憶に新しい。
そんななか、2030年冬季五輪招致断念とそれにともなう北海道新幹線開業延期による北海道経済への影響に注目が集まっている。しかし、これらは短期的なニュースとして注目されているものの、中長期的な経済見通しを考えると、北海道経済に大きな影響を与えるとは考えにくい。
むしろ、札幌の再開発事業や新産業の興隆は、新幹線開業との相乗効果を生む可能性があり、これらが経済の大きな柱として位置づけられることで、経済全体の安定と成長が期待される。したがって、新幹線の札幌延伸はこうした動きとも連動し、最適なタイミングで経済効果をもたらす可能性が高いだろう。