五輪断念で北海道新幹線「札幌延伸」の延期避けられずも、長く見ればむしろ“プラス要素”のが多いワケ
札幌市は2030年の冬季五輪招致を断念した。共同通信が関係者への取材に基づいて10月7日に報じた。その結果、北海道新幹線の札幌延伸は急ぐ必要がなくなった。これは北海道経済にどのような影響を与えるのだろうか。
札幌の街並みの歴史

五輪招致の行方にかかわらず、札幌中心部の再開発は確実に進んでいる。現在の札幌の中心市街地は老朽化が著しく、建物の建て替えは避けられないからだ。
現在の札幌中心部の街並みは、1963(昭和38)年から始まった
・札幌駅前通地区市街地改造事業
・都心部防災建築街区造成事業
によって形成された。その結果、低層の木造住宅が密集していた狸(たぬき)小路やすすきの周辺が「防災建築街区」に指定され、共同化(ビル化)が進められた。
この結果、1971年までに約40棟が整備された。市中心部の広い範囲では、木造の低層店舗を高層ビルに建て替える事業が行われた。また、1971年の地下鉄南北線の建設とほぼ同時に、中心市街地の三つの地下街(ポールタウン、オーロラタウン、札幌駅地下名店街)が完成した。
つまり、現在の札幌の街並みは1972年の冬季五輪の頃に一気に形成されたのである。したがって、老朽化も等しく進んでいるのだ。したがって、2030年の五輪招致の成否にかかわらず、大規模な再開発は避けられない。
再開発事業は2010年頃から始まり、
・日本生命札幌ビル(2009年完成)
・赤レンガテラス(2014年完成、正式名称は札幌三井JPビル)
・さっぽろ創世スクエア(2018年完成)
など、既存物件の建て替えによる高層ビルの建設が増えている。
また、再開発は札幌中心部だけでなく、JR新札幌駅周辺などにも広がっている。さらに、2023年3月には隣接する北広島市に屋内型野球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」がオープンし、2028年の北海道ボールパーク駅開業を前提とした周辺開発も勢いを増している。すでに多くの計画が進行中であり、五輪の招致動向が定かでないことの影響は大きくないだろう。