大阪IR契約締結も、「夢洲アクセス路線」問題がさっぱり解決していない渋い現実

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大阪市此花区の人工島・夢洲で整備予定の統合型リゾート施設(IR)が本契約に至った。開業時期の先送りが続き、夢洲アクセス路線の計画に影響を与えてきたが、まだ課題が残る。

夢洲のIR本契約締結

大阪メトロが導入した新型車両400系(画像:大阪メトロ)
大阪メトロが導入した新型車両400系(画像:大阪メトロ)

 大阪市此花区の人工島・夢洲(ゆめしま)で整備予定の統合型リゾート施設(IR)が本契約に至った。開業時期の先送りが続き、夢洲アクセス路線の計画に影響を与えてきたが、まだ課題が残る。

 大阪市住之江区の人工島・咲洲(さきしま)にある海沿いの遊歩道から北側を眺めると、夢洲が見える。大阪・関西万博が2025年に開催され、IRが2030年秋ごろの開業を目指す場所だ。咲洲と夢洲の直線距離は1km少し。IRや万博予定地は見えないが、コンテナターミナルの照明塔がくっきり浮かぶ。

 咲洲と夢洲間には海底部延長約800mの夢咲トンネルが2009(平成21)年に開通、道路だけが供用されている。2024年度には鉄道も開通し、鉄路が咲洲にある大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅から夢洲中央部に新設される夢洲駅まで約3km延びる。路線名は北港テクノポート線。夢洲と大阪市中心部を結ぶ南ルートで、万博会場へのメインアクセスとなる。

 工事は夢洲駅側から2本の単線トンネルが掘り進められ、5月に夢咲トンネルに到達した。夢洲駅の建設工事も並行して続いており、大阪港湾局は

「2024年度中の開業に向けて順調に進んでいる」

と胸を張る。

大阪メトロが夢洲一番乗り

2024年度の夢洲まで鉄路が伸びる大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅(画像:高田泰)
2024年度の夢洲まで鉄路が伸びる大阪メトロ中央線のコスモスクエア駅(画像:高田泰)

 運行する大阪メトロは万博に向けて導入した新型車両400系の営業運転を始めた。

 宇宙船を意識した斬新なデザインで、未来社会の姿を示す万博にふさわしい車両にしたという。さらに、延伸区間の第二種鉄道事業許可を国土交通省へ申請している。大阪メトロは

「万博を見据え、準備が整ってきた。あとは許可だけ」

と力を込めた。

 中央線に乗り入れる近畿日本鉄道は、IR開業時点で奈良方面から直通列車を走らせる計画。だが、大阪市と奈良県奈良市を結ぶ近鉄奈良線は奈良県生駒市の生駒駅で、相互乗り入れする中央線、近鉄けいはんな線と接続しているものの、奈良線と中央線、けいはんな線の集電方式が異なり、これまで直通できなかった。

 そこで、近鉄は両方式に対応できる集電装置の試作品を開発し、各種試験に入っている。近鉄は

「夢洲エリアを訪れる海外からのIR来場者らを近鉄沿線の奈良や伊勢方面に引き込みたい」

と意欲的だ。

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