池袋駅前は今後良くなる? そごう・西武ストで再認識された「駅前商業」の重要性と代替不可能な価値
百貨店ではなくなった百貨店

近年、百貨店事業の縮小により、それまで駅前の顔として機能していた百貨店が次々に閉店している。地方都市では核施設が抜けたことにより客足が遠のき、駅前商業の衰退に拍車がかかった。
百貨店では主力テナントであるアパレルチェーンの撤退や賃料の低下により、従来のフロアを維持することが難しくなっている。そのため、百貨店の看板は掲げているものの、フロアの多くをニトリやノジマといった
・量販店
・ファストファッション
などの低価格業態が占め、内実は
「百貨店と異なるもの」
になっている店舗も多い。まさに、今、池袋駅前で起きつつあることが、すでに地方都市の駅前では起きているといえる。
家電量販店は元々ロードサイドで発展していった商業業態だが、2000年代に入ってからは駅前へ出店攻勢をかけている。郊外での企業間競争が厳しいなかで、
・将来的な郊外のポテンシャルの低下
・コンパクトシティの推進
も踏まえ、駅前への進出が早かったといえる。撤退した百貨店に代わる駅前商業施設として出店している店舗も多い。現在の家電量販店は多彩な商品構成になっており、飲食フロアも(チェーン店ではあるが)充実している。そのため、地域生活者の日常の利便性を上げるためにはよい商業業態といえる。
その一方、西武池袋本店は前身事業者の百貨店を改名して1949(昭和24)年に誕生し、池袋駅前で70年以上におよぶ歴史がある。1962年には西口に東武百貨店池袋店がオープンし、現在の池袋駅前の商業環境がつくられた。
両者は切磋琢磨(せっさたくま)して池袋駅前の顔として存在してきたといえる。確かに、池袋駅東口といえば「SEIBU」の青いロゴが思い出される。とはいえ、看板だけが残ってもフロアの多くを量販店が占めるとなれば、それはもう百貨店ブランドとはいえないだろう。