大都市駅前に立地する「そごう」の軌跡 不動産業化する百貨店に未来はあるのか? 昭和ノスタルジーはもはや通用せず
駅前百貨店は「都市の顔」

セブン&アイHDから米投資ファンドであるフォートレス・インベストメント・グループに売却される予定のそごう・西武の百貨店に、投資ファンドのパートナーである家電量販店大手ヨドバシカメラの導入が検討されている。
このことが報道され、さまざまな論争を巻き起こしている。対象は
・西武渋谷店
・西武池袋本店
・そごう千葉店
の3店舗で、いずれも大都市中心部の一等地に立地する基幹店舗である。
そのなかでも西武池袋本店とそごう千葉店は巨大ターミナルの駅前に位置し、駅に直結することから、特に集客ポテンシャルの高い立地である。そして、これらの駅前百貨店は長くその
「都市の顔」
として存在してきた商業施設と言える。
そのため、西武池袋本店では豊島区など地元から家電量販店になることへの抵抗感が強く、低層階のブランドショップはそのまま残す案も出てきている。池袋のタウンブランディングにおいてブランドショップがどのくらい寄与しているのかはわからないが、これらの駅前百貨店がそのエリアの商業環境において重要なポジショニングにあることは間違いないだろう。
このような状況もあって、セブン&アイHDが2月に予定していたそごう・西武の株式譲渡は3月に延期、株主から売却差し止め仮処分請求もだされており、売却自体に不透明感が出てきている。
そごうと西武百貨店はいずれもバブル期には時代の花形とまで言われた百貨店である。現在、そごう・西武の持つ商業施設は全10店舗(百貨店8店舗、西武のショッピングセンター(SC)業態2店舗)で、やはり好立地の店舗が多い。
特にそごうの百貨店は横浜、千葉、大宮など、マーケットが潤沢な首都圏大都市の駅前という国内屈指の優良立地に位置している。かつては全国に30店舗以上の百貨店を持ち、多くの地方中心都市の駅前にそごうが出店していた時期もあった。