池袋駅前は今後良くなる? そごう・西武ストで再認識された「駅前商業」の重要性と代替不可能な価値
雑多さが魅力だった池袋

今回の売却騒動をきっかけに、池袋の顔となる駅前商業の低層階にふさわしいのは家電量販店か、ブランドショップかという論争が起きた。どこの駅前にもある家電量販店が池袋の顔となるのは難しいが、では、ブランドショップが池袋の顔かといわれればそれも違和感がある。
池袋は“若者の街”と呼ばれているが、渋谷や原宿などのイメージとは異なり、さまざまな層が集まる雑多なイメージがある。かつての池袋駅地下街はアジアっぽいカオスな印象があった。
例えば「すなっくらんど」がある。
・そば
・うどん
・やきそば
・ラーメン
・どんぶり
・サンドイッチ
・おにぎり
・原宿ドック(ワッフル生地の棒状スナック、その後「ブクロドック」として似たスナックが販売された)
など低価格のメニューを扱った立ち食い形態のフードコートであり、汚いと嫌がる人もいただろうが、他の都心ターミナル商業地にはない興味をそそられた。“若者の街”といっても、最先端のアートやファッションとはあまり縁がなく、
「やぼったさもあるが気楽に立ち寄れる」
それは池袋の魅力でもあった。
近年は池袋も開発が進捗(しんちょく)し、新しい複合商業ビルが次々に開発されている。駅周辺に位置する池袋中心部の公園もリニューアルした。もちろん、駅地下街もきれいになっている。以前の池袋のイメージとは異なる、
「明るく都会的で居心地のよい環境」
が増加していると感じる。
豊島区は高齢化が進展し、都心でありながらも23区で唯一、消滅可能性都市(20歳~39歳の若い女性人口が減少し、将来的に人口が維持できない市区町村)に指摘されたことがあり、若い女性に好まれ、若いファミリー層が増加するようにイメージを刷新するべく、都市開発を推進したことがうかがわれる。人口も増加しており、その効果はあったといえる。