横須賀~富津を結ぶ「東京湾口道路」は本当に実現可能? 協議会9年ぶりに開催も、過去発言に見る両者の埋めがたい“温度差”

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千葉県で、東京湾アクアラインに次ぐ新たな道路の建設計画が盛り上がっている。7月、富津市役所で同県13市町の首長が集まり、「房総地域東京湾口道路建設促進協議会」が9年ぶりに開催されたのである。

東京湾を横断する新たな道路

東京湾アクアライン(画像:写真AC)
東京湾アクアライン(画像:写真AC)

 千葉県で、東京湾アクアラインに次ぐ新たな道路の建設計画が盛り上がっている。7月、富津市役所で同県13市町の首長が集まり、「房総地域東京湾口道路建設促進協議会」が9年ぶりに開催されたのである。

「東京湾口道路」とは、東京湾入り口の浦賀水道を横断し、富津市と神奈川県横須賀市を結ぶ17kmの道路建設構想だ。既存の東京湾アクアラインでは渋滞が状態化しており、その解消のために時間帯変動制料金の実施試験も行われているほどだ。このことが、新たな道路計画を後押ししているのである。

 果たして、東京湾を横断する新たな道路は実現するのだろうか。

 構想の歴史は古い。道路案を最初に提示したのは、1959(昭和34)年の私設シンクタンクである産業計画会議(1971年解散)が提唱した

「ネオ・トウキョウプラン」

である。このプランは第7次勧告「東京湾2億坪の埋め立てについての勧告」で示された。現在、国会図書館デジタルコレクションで閲覧できる。

 その内容は壮大である。約10億平方メートル(3億坪)の東京湾のうち、約6億6000万平方メートル(2億坪)を埋め立てて、人口増加による住宅問題を解決、良港を建設するという計画だった。「東京湾2億坪の埋め立てについての勧告」の本文中には、

「将来10万トンの原子力船が運行することを考慮して設計」

など、当時の“21世紀観”を反映する文面もあるが、道路については

「幹線道路は、自動車専用の高架または地下式として、必ず立体交差方式による」

と、先進的な構想を示している。そんな幹線道路が東京湾に張り巡らされる。そのひとつが浦賀水道を横断する道路計画だった。

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