新型「フェアレディZ」「ロードスター」が絶賛されればされるほど、スポーツカーの“落日”が浮き彫りになる皮肉現実
現時点では、トラックを除けば、ATでもMTでも走れるのはスポーツカーだけである。スポーツカーをMTで走らせるかATで走らせるかという選択は、唯一無二のマニアックな選択でもある。
日本を覆い尽くす「AT車」
現在、日本で販売されているクルマの98%は「AT車」だといわれている。ちなみに、AT限定で運転免許を取得するドライバーの割合は、毎年70%弱だ。今やAT車が日本の自動車市場をけん引しているといっていいだろう。
この事実の背景には、かつては単に運転を楽にするためのメカニズムであったATが、MT車に勝るとも劣らないスポーツ性能を備えた高機能なものに進化したことがある。
多段化されたギアとドライバーの感覚は、もはや当たり前の技術にとどまらない。また、ATの付加価値、つまりATの技術的意義も、現在のATには盛り込まれている。
一方、AT全盛の時代にあっても、MT車の存在に価値を見いだす人たちもいる。絶対数は少なくても、独特の連帯感で結ばれ、自動車ビジネス全体に与える影響力はときに大きい。