ANA新ブランド「AirJapan」はジップエアの対抗馬となれるのか? 来年2月始動で見えてきた、フルサービス時代の“終わりの始まり”
AirJapanの前身である現在のエアージャパンは、既にバンコクに就航している。わざわざ第3のエアラインとして、AirJapanを新たに就航させるワケとは一体何なのか。
FSCの終わりの始まり

日系のJALとANAは近年、それぞれが第3のエアラインとしてMCCという新たなジャンルを打ち出してきた。
利用者にとっては、選択肢が増えることはうれしい。10年前と比較しても価格やサービスの細かな選択が可能になったことは確実に歓迎すべきだ。利用者は本当に必要なサービスだけを享受できるし、航空会社にとっても不要とされるサービスのカットが可能となり、コストパフォーマンスを上げることができる。
一方で、これらの変化はFSCの
「終わりの始まり」
のようにも感じてしまうのはいささか早計だろうか。このMCCが成功すれば、現在フルサービスを提供するANAやJAL本体も段階的に変化していく可能性がある。
実際に海外エアラインでは、既にその波は始まっている。ヨーロッパのFSCのKLMオランダ航空やポーランド航空では、国際線でも、一番安い運賃には
・受託手荷物
・座席指定
は含まれていない。エコノミークラス内で、ライト、スタンダード、スタンダードプラスといったサービスオプションが存在しており、価格も大きく異なっている。
これまでの飛行機では、サービスの違いは、ファースト、ビジネス、エコノミーというクラスによるものだった。運賃クラスによって予約変更や払い戻しなどの有無や、サービスのグレードは異なるが、機内食や座席指定などの最低限のサービス自体に差異はなかった。
しかし、これからは同じクラス内でも、受けるサービスが全く異なる可能性もある。いい換えれば、同じ飛行機のエコノミークラス内で「FSC、MCC、LCC」といった全く異なるサービスの提供が行われていく可能性がある。
それには少なからず、新生AirJapanの成否が影響を与える可能性があることは間違いない。