ANA新ブランド「AirJapan」はジップエアの対抗馬となれるのか? 来年2月始動で見えてきた、フルサービス時代の“終わりの始まり”
ジップエアの対抗馬となりえるのか

フルサービスではないが、LCCでもないミドルコストエアラインとして、まず頭に浮かぶのはJALグループのZIPAIR(ジップエア)だ。
「サービスクオリティーと究極のコストバリューを両立する、今までにないエアライン」
を謡うジップエアの存在は、これまでフルサービスキャリア(FSC)のANAとLCCのピーチしか持たないANAグループにとって、大きな脅威であったことは間違いない。
2020年に運航開始したジップエアは、LCCより広い座席間隔に加え、ミドルコストキャリア(MCC)とては珍しくフルフラットのビジネスクラスも完備されており、
「低価格なのに、高品質なサービス」
といったブランドイメージの構築に成功した。シンプルでわかりやすいプランは顧客の心をうまくつかんでおり、バンコクや米国に行くなら
「まず、ジップエアの料金を見る」
と考える人が増えてきている。
ジップエアの就航路線には、ソウル、バンコク、シンガポールがあり、現在のエアージャパンの就航路線とほぼ同じ市場をターゲットにしている。だからこそ、ANAはAirJapanを新ブランドとして「新たに」誕生させる必要があったのではないか。
AirJapanは、コンセプトも価格もジップエアにとてもよく似ている。2社の座席を比較してみると、ジップエアのシートピッチは約79cm(約31インチ)、AirJapanは約81センチ(32インチ)となっている。
また、現時点での成田~バンコク路線の価格は、受託手荷物(預け荷物)のオプションをつけた場合に、AirJapanが2割ほど割安となっている。AirJapanは23kg、ジップエアは30kgまでの重さなので、一概にAirJapanがお得だとはいい切れないが、ANAは新生AirJapanでジップエアに真正面から勝負を挑むつもりなのだろう。
また、ANAグループには同じく低価格帯のピーチと“共食い”にならないことが重要になるが、関西国際空港をベースとするピーチと、成田ベースのAirJapanは「大阪と東京」という形ですみわけるのだろう。