ブルーインパルスは大丈夫? イタリア曲技機墜落&女児死亡に見る「鳥衝突リスク」とは

キーワード :
, ,
イタリア空軍のアクロバット・チーム「フレッチェ・トリコローリ」が、トリノ・カゼッレ空港を編隊で離陸する際、1機が墜落した。ブルーインパルスは大丈夫か。

旧式の単発機アエルマッキMB-339

エア04でのフレッチェ・トリコローリ。スイスのパイエルネ(画像:マイク・レーマン)
エア04でのフレッチェ・トリコローリ。スイスのパイエルネ(画像:マイク・レーマン)

 フレッチェ・トリコローリが使用するイタリア製アエルマッキMB-339は1970年代に開発された練習機だが、搭載しているエンジン「ヴァイパー」は1950年代前半に生まれた古いジェット・エンジンである。しかも搭載エンジンが1基だけの単発機だから、エンジン不具合は機体を喪失する事故に直結する。

 エンジンへの鳥吸い込みによるフレッチェ・トリコローリの墜落事故は、実は2002年10月にも発生している。これはチームの拠点であるリボルト空軍基地で訓練中の事故で、着陸の前に鳥を吸い込んだが、機体はブドウ畑に墜落したため、幸いにも人身被害の発生は免れている。同じく2002年の1月には、鳥の吸い込みかどうかは不明だが、マレーシアのMB-339がエンジン故障で墜落事故を起こしている。

 また、フレッチェ・トリコローリと同じMB-339を使用しているアクロバット・チームにアラブ首長国連邦の「アル・フルサン」があるが、2023年7月18日に同チームがイギリスのエアショーから帰国する際、1機がエンジン故障のためフランスに緊急着陸したばかりである。

 それ以外にもMB-339の事故は輸出先の各国で起きているが、軍用機であるため事故の詳細が公表されていないものが大半で、エンジンが原因になった割合は明らかになっていない。しかし、よほど信頼性の高いエンジンでない限り、双発機に比べて単発機の事故率が高いのは必然だろう。

 フレッチェ・トリコローリは旧式化したMB-339をM-345練習機に更新する計画を既に立てており、この計画も今回の事故に影響を受けるのは間違いないが、更新機種のM-345も単発機である。事故原因の調査結果によっては、改めて安全性の面から懸念の声が強まる可能性もある。

全てのコメントを見る